なんだかなぁ…

 土曜日に40歳前後の男性から、「手足口病みたいなんだけど、手足口病に効く薬はないんでしょ?」という問い合わせがあり、職員が私に確認した上で「お熱などがあれば解熱剤をお出しするくらいで、直接効く薬はありません。」と電話でお答えしたのですが、、。

 しばらくしてその方がお見えになられて、診察したらやはり手足口病だったので、「この病気に効く薬はありません。長くても一週間程度で治るので。」とご説明して、手足口病との接し方的な資料もお渡しして、ご本人も「そうですよね。」と納得してお帰りいただいて…。

 しばらくしてから何故かお怒りの電話がかかってきて、「効く薬がないなら仕事中にわざわざ行かなかった!こっちは忙しいんだ!客を待たせてんだっ!」と。

 「来院されて診てみないと手足口病かどうかも分からないし、お電話では責任ある対応は出来ないし、こちらの何が悪いのでしょう?」とお答えしたら、「こっちは手足口病だって最初から言ってんのに、お前は頭が悪いのか!」とか「お前はバカなのか?」とか「まず謝るだろっ!」とか、すごい剣幕…。

 そういえば、いらした時に抗生物質を飲めば悪化しないから出して欲しいような事をおっしゃっていたので、抗生物質は手足口病には効かない事も説明して、、。全く効果が無い抗生物質を出して欲しかったのでしょうか…?

 それにしても、こちらは効く薬はないと初めから一貫して説明しているのに、ご自身の判断で来院して、「これじゃ行った意味がないだろ!」では、らちがあかないので、しばらく押し問答してから「堂々巡りなので切ります!」と言って電話を切りましたが、、。

 最近、電話やメールで全てを済ませようとされる方が増えてきていますが、電話やメールでの問い合わせに対してお答えすることも、”診察”に当たるのですけどね。そもそも、目の前では言えなくて、帰ってからグダグダ言うのってどうなのさ?

 早く治せと凄んだり、ご自分の思う薬が貰えなかったり、ご自身の思う診断と違ったりすると外来でお怒りになる方が少なからずいらっしゃいますけど、こちらも日々真剣勝負で魂を削るような思いで患者さんと向き合っているので、、。

 昔は医者といえば「お医者様!」だったのですが、今ではただのサービス業?…地に落ちたものですなぁ。

 患者が医者を育てる部分もあるわけで…、こういうことがあると親身になって患者さんと向き合う医者が減ってしまいます!(`Δ´)

 年々収入は減らされ、患者さんには罵倒され、もう辞めてしまおうかと思うことが私ですら多いので、先のある若い先生方は本当に大変だと思います。

 コロナ等のパンデミックが起きた時、命がけで現場に立つ仕事なんだということを、もう少し世間の方々には理解して欲しいものです。

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