最悪の制度…

 内科の開業医にとって、今日という日は最悪の制度のスタートの日になりそうです。

 これまで高血圧や脂質異常症、糖尿病等の患者さんに、食事や運動の事、服薬の事などを外来で行うと普通に算定できていた特定疾患療養管理指導料が、「生活習慣病管理料」となり、月に2回まで算定できていたものが月に1回までになり、療養計画書を交付することとと、『患者さんの署名による同意を得る事』が算定要件になっていますので、患者さんが納得する療養管理・指導を行えば同意してサインしていただけると思いますが、中には窓口での負担金のことを考えて「同意しません!」と言う患者さんが少なからず出てくると思います。なので、そういった方には算定出来ないという、これまでない規定が始まります。

 そもそも、診療報酬には患者さんが拒否するということが前提になっていないものでしたので、現場では混乱が予想されますが、当院でも国の方針としてこの制度に沿ってスタートしますけど、どうなることやら。┐(‘~`;)┌

 これまでもそうでしたが、この制度を作るから取れるものなら取ってみな!という感じで世間には診療報酬は上げ続けているとアピールしながら、事実上取れない診療報酬を作り続けて、国は巧みに医療費削減を続けて来て、当院でもこれまでに売り上げは3割も落ちてきましたし、今回の改訂で一切サインをしていただけないと、今の収入からさらに3割減ることになります。

 今回もメディアを使って「開業医は儲けすぎている!」なんて馬鹿げたことを言いながら、でも「国としては増え続ける高齢者対策として診療報酬を上げますから、患者様には初診料、再診料は少しだけ増やさせて下さいね!」…的な、詐欺なのに聞こえの良い事を言って、実は診療報酬は下げる、窓口負担は増やすという一挙両得作戦を遂行しようとしています。

 以前は、高額納税者番付には医者がたくさん載っていたと思いますが、今は美容整形の先生は載っていますが、保険診療を行う科の先生はほとんど載っていないことから、「開業医は儲けすぎている!」なんていう事は昔の事だと分かっていただけると思います。

 私は今回の改訂で、決まりかけていた常勤の看護師さんの採用を諦めました。これ以上診療報酬が下がるととてもじゃないけど雇えないし、高額な医療機械も買えないし、医療の質の担保が本当に難しくなります。

 国が報酬をどうにでも出来るこの介護報酬と診療報酬…、今後もどんどん減らされ、この国の医療崩壊はすでにカウントダウンが始まっているのかも知れません。(ToT)