医者と患者の話

 先日退院した高齢男性の患者さんについて、主治医からの退院の報告書を見たら、「あれこれと心気的な訴えが多く、点滴の刺していた部分が腫れた事を理由に、退院日を延ばそうとしたり…」等々、、だいぶ患者さんと折りあいが悪かったのだろうと思えるような文章が書かれていて。

 昨日、その方が診察にいらして、開口一番、「点滴したところが炎症して凄く腫れて痛くて、昨日ぐらいからやっと腫れが引いてきて…。あの先生、”このままだと炎症が筋肉まで及んで血液に入って、ほら、この前、渡辺徹が敗血症で亡くなったでしょ?あんな感じになってしまいますよ”なんて言うんですよ。怖いでしょ?」

 お医者さん側は、「心気的な訴えが多く、…腫れを理由に退院を延ばそうとしたり」…なんて言っていますが、患者さんからしたら”敗血症で亡くなる!”なんて言われたら、そりゃ「もう少し入院させてくれ!」ってなりますよねぇ。

 どちらが良いとか悪いとかは当事者ではないので分かりませんが、患者さんの立場に立って考えると、「医者も言いようがあるんじゃないの?」という感じです。

 説明しておかないと本当にそうなった時に訴えられてしまう…、今どきのそんな流れで、例えば手術前の説明などは、聞いていたら手術を受ける気を失くすような怖い説明ばかり。

 俺に任せろ!俺を信じろ!みたいな、どっかのインプラント専門の歯医者さんのポスターみたいな感じで言ってしまうと、何かあった時に本当にこじれてしまうのでしょうかねぇ。

 今は、「これとこれとこれが選択肢でありますが、どれにしますか?」なんて感じで患者さんや家族に選ばせるような説明が多いようですが、私が大学病院にいた頃は、一応一通り説明させていただいて、どれにするか迷う患者さんとご家族を前にして、「私の家族だったらこれを選びます!私を信じて任せてください。」なんて平気で言ってしまっていました。

 何が起きても恨まれない、訴えられない、、というために何をするのか?

 それは、怖い言葉を並べるのではなく、自分を信じてもらう努力をする事だと思うのですが、、やっぱり所詮は町医者…?考えが甘いのか?私みたいな考えは古いのかなあ…_(^^;)ゞ。

 少なくとも言えるのは、私は他の医者に「めんどくさい人だ!」とか「精神的におかしい!」とか言われる患者さんに、以前からとても好かれます…。

 それをどう取るかはあなた次第…(-ω- ?)

    前の記事

    まだかいな…